佐久穂町立千曲病院

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TEL 0267-86-2360

長野県南佐久郡佐久穂町大字高野町328

植竹智義院長よりご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。令和の時代2回目の年明けを、新たな気持ちでお迎えになったこととお慶び申し上げます。年当初のご挨拶、本来であれば夢いっぱいの希望にあふれる話題から始めたいのですが、やはりまず一言、「新型コロナウイルス感染症」に尽きる2020年で有りました。

 COVID-19(coronavirus disease2019)「新型コロナウイルス感染症」は2019年秋から中国武漢市のパンデミックから始まり、瞬く間に全世界的な感染症になりました。「第1・2波=いままで」:2020年4月8日に1回目の緊急事態宣言がありました。人類にとって未知の感染症で有り、また高齢者の死亡率の高さも恐怖を覚えました。千曲病院でも充分に感染を予防し、外来の電話診療や面会禁止の措置。胃カメラは学会のガイドラインから2ヶ月延期しました。御協力に感謝し、そのご迷惑に謝罪いたします。その後の慣れない、新しい生活様式での社会経済活動再開は難しく、6月以降に「夜の街」関連の第2波が20代や30代を中心に急増してしまいました。若者からの流行は、やがて家庭内にも持ち込まれ、全年齢層に広がりますが、第1波とは異なり幸いにも致死率も低い状態でした。

 「第3波=いま」:「この冬はインフルエンザとコロナの重複感染が心配だ。」と10月中にインフルエンザワクチンを接種されました。ウイルス感染は冬に多い事は実感されると思います。ウイルスは乾燥でより拡散しやすい、室内が密閉されている、気候の変化に体力や免疫力のバランスが崩れるなどの理由からであり、COVID-19の冬の流行も予測されていたことです。しかしタイミングが合ってしまった秋のGOTOキャンペーンの影響もあったのかもしれません。現在、前とは比較にならない規模の流行が、都心だけでなく地域社会まで飲み込もうとしています。1年間のCOVID-19関連死は日本で4000人を越え、交通事故死亡者数を追い越してしまいました。佐久広域でも自治体、保健所や医師会を中心に医療崩壊を招かないように早くから対策しています。その一環で千曲病院では抗原定量検査による未感染判定をすでに500名以上に行い、行政から依頼される行政検査もしています。これから始まる新型コロナウイルスワクチン接種の準備も始まっていますし、より強化された連携も始まります。

一つの感染症にいつまでも追い込まれていても前に進むことはできません。この感染症の対策のみに医療を提供している訳ではなく、またみなさま町民の日常生活をいつまでも邪魔されていては困ります。風光明媚な四季折々の季節感あふれる佐久穂町。その中で明るく、楽しい生活を過ごせる、新しい生活様式を持ったアフターコロナ時代に大きな希望を寄せています。年末に佐久穂小中学校の生徒さんから千曲病院に素晴らしい応援をいただきました。数多くのかわいい黄緑色のリボン(シトラスキャンペーン)と応援メッセージをちりばめた大きなポスターです。外来で見られた方も多くいらっしゃいます。心から感謝しています、ありがとうございます。このような応援はいくら頂いても困る事はありません!病院職員や患者さんもリボンを頂き、ポスターを見て、やさしい気持ちに満たされました。地域の将来を背負い立つ彼ら彼女らの為にも、まさに継続可能な地域社会生活の必要性を再確認しました。

 十二支の動物の中で最も動きが緩慢で歩みの遅い丑(牛)の年は、先を急がず一歩一歩着実に物事を進めることが大切な年であり、去年の子年に蒔いた種が芽を出して成長する時期ともされ、結果につながる道をコツコツと作っていく基礎を積み上げていく、まさにこの時勢に照らし合わせることが出来ます。素晴らしいキラキラの春は、厳しい冬の後に必ず訪れます。災害であるこの感染症も近いうちに新しい生活様式のうえ、ともに乗り切った皆様との結束を土産に必ず収束します。その時、本当の意味での普通の日常普通の健康・福祉を取り戻すより強い協力を病院みんなであらためてさせて頂きます。佐久穂町の皆様にとりまして幸せ多き一年でありますように祈願いたしまして、新年の挨拶といたします。

令和3年1月吉日  佐久穂町立千曲病院 院長 植竹智義