佐久穂町立千曲病院
長野県南佐久郡佐久穂町大字高野町328
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皆様、新年あけましておめでとうございます。令和4年の年明けを、新たな気持ちでお迎えになったことお慶び申し上げます。私も久しぶりにひとときの安らいだ年末年始を家族と過ごし、四代にわたる繋がりを共有することが出来ました。さて、「新型コロナウイルス感染症」3年目となり、皆様は今年がどんな1年となると思い描かれているでしょうか?「そんなことは過ぎてみないと分からないよ。」と言われるかも知れません。世界で猛威を奮い始めているオミクロン株や第6波に直面しつつある今日、漠然とした不安が未だに残るこの状態ではそれも当然なことです。
このような不安を感じる時には、ちょっとこの1年を振り返ってみましょう。1年前の挨拶で「第3波=いま」との説明後も流行が繰り返しましたが、どんなウイルス感染症も感染回数が多いほど、変異(遺伝子の転写ミスが発生)が高確率で発生し、その変異株が次の標準株になる特徴を持ち、デルタ株からのオミクロン株出現も予想通りとなりました。しかし我々はこの1年間黙っていたわけではありません。一昨年はマスクや手指消毒の感染予防の基本のみで、積極的な防御策や治療法が無かった事からすれば、去年4月からの待望のワクチン接種はまさしく急速な進歩となりました。佐久穂町12歳以上の2回のワクチン摂取率は年末12月27日時点で91.5%と素晴らしい水準となり、また2月以降に3回目接種も始まることにより、個々の感染や重症化予防のみならず、地域の集団免疫にとっても期待できる状態になっています。さらに治療でも内服薬の採用も決まっております。
歴史的に、スペイン風邪やMARSなど2~3年で世界的流行(パンデミック)は収束し、やがては風土病あるいは季節的な一般的感染症として普遍化されるのが学問的にも常識です。世界保健機構WHOのテドロス事務局長は年末12月30日に「大流行が3年目に入った今年、パンデミックを終わらせることができると確信する」、更に「我々が目標通り前進するなら、2022年末には再び集まることができるだろう」との期待を公表しています。
ここでまず初めに病院からも、住民の皆様に御自身の健康状態の再度の確認をお願いしたいと考えております。一昨年は中断期間もあった検診事業。それに比較すれば去年は健診・ドック、各検査数は戻りましたが、それでも空白の2年間によって皆様の健康維持が充足していないことを実感し、残念ながら病気が進んだ状態で診断される方も多い実情が今あります。例えば大腸鏡検査では、悪性所見発見率は1.3%から2.7%へと増悪し、骨粗鬆症により骨折した方の入院も多く見受けられます。次に我々は地域医療全体を再考しなければなりません。今まで良好であった佐久穂町、南佐久の医療・介護・福祉のバランスがコロナ禍によって変わりつつあります。医療資源の欠如=医療系の従事者不足の加速が一因でもありますが、千曲病院では幸いにもこの春より2名の医師(内科、外科)をお迎えすることが決まり、逆境にもかかわらず力つよく地域に貢献し、期待に応える準備が整ったと考えています。
力強さと機敏さもある寅「 壬寅(みずのえとら)」。「壬」は「妊に通じ、陽気を下に姙(はら)む」、「寅」は「螾(ミミズ)に通じ、春の草木が生ずる」という意味からも、「壬寅」は厳しい冬を越え、芽吹き始めて、新しい成長の基礎となる、まさにこれからの1年のイメージです。今年は新型コロナウイルスと生活の再建への歩みの最後の戦いの年になり、多くの再出発への正に元年となります。皆様にとりまして幸せ多き、再出発の一年でありますように祈願いたしまして、新年の挨拶といたします。
令和4年1月吉日 佐久穂町立千曲病院 院長 植竹智義