佐久穂町立千曲病院

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TEL 0267-86-2360

長野県南佐久郡佐久穂町大字高野町328

院長より新年のご挨拶

 佐久穂町民の皆様、新年明けましておめでとうございます。4年ぶりの行動制限の無い令和6年のお正月を、新たな気持ちでお迎えになったことお慶び申し上げます。2024年の干支は“甲辰(きのえたつ)”の年です。五行十干では新しい10年サイクルが始まる成長のスタートの年で、唯一実在しない辰ですがエネルギーが強い年とされ、さらに地球の時間のずれを4年に1日リセットする閏(うるう)年でもあります。そのようなタイミングが重なる2024年に私も強く期待しております。

 

新型コロナ感染症のこれまでとこれから

 2023年5月8日に感染症扱いの変更により良いことも多い反面、皆様もさてどうしたものかと悩まれたと思います。その直後にはいくつか集団発生が起きましたが、現在では御協力も有り社会的通念も含めて落ち着きを取り戻しつつあります。それでも千曲病院12月の発熱外来陽性率はコロナ13.6%(368検査中)、インフルエンザ41.7%(271検査中)とまだ高率ですし、コロナとインフルエンザの重複感染の報告など複雑化している部分もあります。さて、これからはこのコロナ禍で忘れたことが無いか思い出してください。以前は日常であった運動習慣や生活意識、健康管理(検診やドック)などを忘れてないですか。スポーツや運動習慣であれば再開すればある程度は戻ります。しかし身体の異常は戻すことができないかも知れません。コロナ禍後に「玉手箱を開けてみたら、身体は4年分の不調になっていた。」事の無いようにお願いします。「コロナの足跡」と呼びますが、ほんの少しの置き土産がありました。それは人の繋がりの大切さを再確認できた事です。皆様も家族やご近所さんに優しくなれた実感はないですか。大きな組織体である佐久広域の医療・介護でも、佐久医療センター、各病院、医師会、各施設の連携が正に織物のように強靱に成ったことを日々実感しています。

 

国の施策―地域医療構想と医師の働き方改革―

 地域医療構想は2025年までに地域医療の将来に向けての計画提出を求められた、2019年10月に厚生労働省から発表された構想です。早急なことであり、当初日本中どの地域においても対応は困難と考え、さらに程なくして公立公的地域病院を主体にコロナ対応を実施したため、計画の実行は困難を極めました。しかし千曲病院では佐久広域調整会議に早くから積極的に提案、その合意を元に長野県でも早い段階に院内介護施設である介護医療院を開設できました。この開設により、医療から介護への隙間のない地域の介護拠点になり、さらに病院の将来的な継続性を示すことに成功しています。医師の働き方改革は、医師のみならず医療従事者の適正な勤務態勢整備を目標としています。当院では、10月に小児科専門医でもある総合診療医が就任し、さらに専門外来の再配置も行いました。令和5年度は、病院の将来像に向けて11名の新規職員を採用し、「小さい総合病院としての機能を持つ」理想の病院に一歩近づいています。

 

2024年に辰のごとく「飛躍」します

 病院にとって2023年は「飛躍」前の助走であり、2024年の準備期間でした。春のMRI導入、眼科診療体制の充実、10月には介護医療院の開設と総合診療医の就任。それにより小児放課後外来や救急診療の改善を実現しました。今年1月からは2人の脳神経内科医による認知症診療などの充実、そして春からの整形外科常勤医着任に向けて調整中です。2016年の5人から始まった医局は今年には10名を越え、それと同時に看護部・技術部門もさらに向上を目指し、求められる地域の診療需要に対応していきます。

最後に、佐久穂町の皆さんでコロナ感染症の存在以前の喜びを共有できますように、そして「飛躍」する一年でありますように祈願しまして、新年の挨拶といたします。

 

追記:元旦に発生した令和6年能登半島地震で多くの方が被害に遭われました。私も去年2回訪れた奥能登であり、あの素晴らしい地域を思うと残念で成りません。心からお見舞い申し上げるとともに一刻も早い復活を願っております。

 

令和6年1月4日  佐久穂町立千曲病院 院長 植竹智義